がんゲノム医療外来では「NCCオンコパネル」、「ファウンデーションワン」、
「プレシジョン(PleSSision)検査」などのがん遺伝子パネル検査を実施しています。
人間の体は、約37兆個の細胞からなっています。細胞は、細胞内にある遺伝子の情報をもとに分裂、増殖を繰り返しています。加齢・喫煙・過度な飲酒などの様々な要因によって遺伝子に病的な変化が起きてしまうと、細胞は異常な分裂を繰り返すようになり、やがてがん細胞が発生します。したがって、がんは「遺伝子の変化が原因の1つとなっている病気」と言えます。
最近になり、この遺伝子の変化(遺伝子変異)を調べることで、効果的な治療薬の選択に役立つことが分かってきました。がん遺伝子パネル検査は、数百種類のがん化に関わる遺伝子変異を調べることが出来ます。その結果をもとに、最適な治療を提供する試みを「がんゲノム医療」といいます。
<注意点>
遺伝子変異の状況を調べることで、効果的な治療薬候補が判明する可能性があります。しかし、がんゲノム医療には、以下のような限界もありますので、がん遺伝子パネル検査を受ける前に、よく考えましょう。
► 遺伝子変異の状況が判明しても、有効な治療薬が判明しない場合があります。
► 効果が期待される治療薬が判明したとしても、実際に効果が示されるかは、治療をしてみるまでは分かりません。
► 候補の治療薬の多くは保険承認されていなかったり、承認前の研究段階の薬剤だったりします。したがって治療を受けるためには、自費診療で受ける、または治験に参加するなどの方法をとる必要があります
► 自費診療で治療を受ける場合に、薬剤によっては月に数十万円の高額な治療費を要することがあります。
現在、がんゲノム医療外来では以下のがん遺伝子パネル検査を受けることができます。どのパネル検査を選択するかは、がんの種類、患者さんの状態などを考慮して決定します。
✓ NCCオンコパネル
がんに関連した114遺伝子を検査します。検査には、以前に採取された「がん組織」、
および当院で採血する「血液」の検体が必要です。
✓ファウンデーションワン
がんに関連した324遺伝子を検査します。検査には、以前に採取された「がん組織」の
検体が必要です。
✓ プレシジョン(PleSSision)検査
がんに関連した160遺伝子を検査します。検査には、以前に採取された「がん組織」、
および当院で採血する「血液」の検体が必要です。
「NCCオンコパネル」、「ファウンデーションワン」は保険適用の検査で、保険点数は5万6千点(56万円)です、1~3割の自己負担となりますが、高額療養費制度を利用すれば、負担はさらに抑えられます。
ただし、これまでの治療経過や現在の身体状況から、場合により保険適用にならないこともあります。
「プレシジョン(PleSSision)検査」は保険診療対象外の検査で、57万円(税抜き)かかります。外来受診料、検査費用など含めて、すべて患者さんご自身に費用の全額を負担していただきます。
がんゲノム医療外来初診料および検査相談料は20,000円(税抜き)、再診料は5,000円(税抜き)で、「プレシジョン(PleSSision)検査」を受けてない場合でも、お支払い頂きます。
費用は、検査に必要な採血をして頂く当日にお支払い頂きます。
患者さんが直接、がんゲノム医療外来受診予約をとることは出来ません。必ず現在治療を担当している主治医からのFAX予約が必要になります。
また、がん遺伝子パネル検査を受けてから、結果が判明するまでに2か月ほどかかります。
受診から検査までの流れ
① 受診を希望する患者さんが、現在治療を担当している主治医に、当院のがんゲノム医療外来受診希望
を伝え、予約取得を依頼する。
② 主治医が「診療予約FAX申込書」に加え、「がんゲノム医療外来予約申込書」に必要事項を記載し、
医療連携センターへFAXする。(予約専用FAX番号:0422-34-6550)
③ 当院の担当科が決定したら、当院担当者から主治医へFAXで受診日を連絡する。
④ 指定された受診日に、主治医からの紹介状、「病理組織検体の品質評価シート」、HE染色標本1枚、
病理診断報告書、画像検査、血液検査などを持参し、指定された科の外来を受診する。
本人の受診を原則とし、可能な限り家族も一緒に受診する。
⑤ 患者さんががん遺伝子パネル検査に同意された場合、 病理組織検体の品質に問題がなければ※、
当院担当医から 主治医に対して、検査用の病理組織検体送付を依頼する。
当院で、検査に必要な血液検体を採血する(採血当日に検査費用の支払いが必要)。
⑥ 「病理組織標本作製のご案内」に従い、現在治療を行っている主治医から病理組織標本が
当院担当医へ送付。当院に標本が到着次第、がん遺伝子パネル検査を実施する。
§ 担当医は、がんの種類により各科の担当者に決定します
※ 品質に問題がある場合は、正確な結果が得られないため、検査が実施できません
がんゲノム医療目的で紹介いただく際には、現在治療を担当されている先生からのFAX予約(診療予約FAX申込書とがんゲノム医療外来予約申込書)が必要ですので、ご対応お願いいたします。
がん遺伝子パネル検査を行う際に、病理組織検体が必要となります。あらかじめ下記資料集にある「病理組織標本作製のご案内」の内容をご確認頂き、標本をご準備いただけますと、検査が遅滞なくすすめられます。
がんゲノム医療外来受診当日に、以下の書類をご用意いただき、患者さんにお渡しください
1) 紹介状(診療情報提供書)
2) 病理診断報告書(遺伝子パネル検査に提出する病理組織検体の)
切り出し図(準備できる場合は)
3) 病理組織検体の品質評価シート
4) HE染色標本1枚(品質評価に使用します、患者さんに持参させて下さい)
5) 検査資料等
1.血液検査、2.画像検査、3.その他
紹介状内に、標準治療の実施状況を必ずご記載ください。これまで行ってきた治療レジメン、今後予定している治療内容、腫瘍組織の採取方法(生検、手術など)及び採取日が分かるように、ご記載をよろしくお願いいたします。
がん遺伝子パネル検査について詳しくご説明し、検査を進めさせていただきます。
遺伝子パネル検査の成功は、病理組織検体(FFPEブロック:ホルマリン固定パラフィンブロック)の品質にかかっています。ゲノム解析用検体としての品質には、下記の要素が関わってきます。
品質に関わる要素 | 推奨 |
---|---|
1. 検体採取からホルマリン固定までの時間 | 可及的すみやかに固定 冷蔵庫保管にて1時間以内(少なくとも3時間以内)に固定、常温で長時間放置は極力回避 |
2. ホルマリン固定時間 | 6-48時間 |
3.ホルマリン濃度 | 10%中性緩衝ホルマリン(推奨A) 15%中性緩衝ホルマリン(推奨B) |
4.FFPEブロックの保管期間 | 作成後3年以内が目安 |
5.腫瘍含有量 | 腫瘍含有量が多く(>50%推奨)、炎症、出血、壊死がなるべく少ない検体 |
がん遺伝子パネル検査用に送って頂く検体は、上記の要素をなるべく満たすものをご選択下さい。
初診時にお預かりした書類およびHE染色標本を、当院病理部にて評価させて頂き、がん遺伝子パネル検査が検査可能と判定された場合、検査用の病理組織標本送付(FFPEブロック、未染色標本など)をご依頼させていただきます。
検体の準備の方法に関しては「病理組織標本作製のご案内」をご確認ください。
なお、検体の品質が基準に満たず検査が実施できない場合は、生検による組織採取を貴院にお願いすることがあります。
✓ 診療予約FAX申込書(予約時に必要)
✓ がんゲノム医療外来予約申込書(予約時に必要)
✓ 病理組織検体の品質評価シート(外来初回受診時に必要)
✓ 病理組織標本作製のご案内(遺伝子パネル検査用病理組織の作成・送付時に必要)
○診療内容に関するお問い合わせ
がん相談支援センター 内線7558
受付時間 9時00分~17時
○初診予約方法に関するお問い合わせ
医療連携センター FAX 予約担当 内線7520
受付時間8時30分~17時