日本赤十字社 武蔵野赤十字病院

輸血部輸血部

安全な輸血療法に対する取り組み

当院輸血部では、輸血療法委員会・診療科・看護部・検査部・医療安全推進室など病院全体と連携をとり、通常の輸血のみならず、緊急・大量輸血に関しても安全で適切な輸血療法の実施に取り組んでおります。 ここで、当院における輸血過誤(患者や検体の取り違いによる医療事故)防止策の一環をご紹介いたします。

1)自動輸血検査装置による輸血検査の導入

検体の取り違い・検査試薬の分注ミス・結果の転記ミス等のヒューマンエラーを防止する目的で、バーコードを用いた全自動の検査システムを導入しております。

2)輸血実施時のバーコード患者認証システムの導入

2011年11月の電子カルテ導入に伴い、輸血実施前に患者様のリストバンドのバーコードと輸血用血液製剤のバーコードをスキャンし、輸血される患者様に確実に割り当てられた血液製剤か確認を行う患者認証システムを導入いたしました。

2015年4月よりフローサイトメーターFACSCanto™II導入に伴いCD34陽性細胞の院内測定が可能となりました。今後は検査項目も順次拡大していく予定です。

スタッフ紹介

輸血部部長:押川 学(おしかわ がく)

専門領域

  • 臨床血液学

資格等

  • 医学博士
  • 日本血液学会認定血液専門医・指導医
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
  • 日本輸血・細胞治療学会認定医
  • 日本造血細胞移植学会認定医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 公益財団法人日本骨髄バンク調整医師
  • 日本医師会認定産業医
  • 東京医科歯科大学医学部臨床教授
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
  • 医師の臨床研修に係る指導医講習会修了

臨床検査技師 4名

輸血部の主な業務内容

輸血では輸血用血液製剤の管理、輸血に関連する検査、自家末梢血幹細胞の採取・保存・管理、貯血式自己血輸血の採取・管理を行っています。

<血液型検査>

一般的なABO・Rh式血液型をはじめ、血液型不適合妊娠や不規則性抗体検出時の際は、一部の特殊な血液型の検査も実施いたします。なお、ご本人のご希望で血液型検査を受ける場合には、自費診療となります。

<不規則性抗体検査>

ABO式血液型以外の血液型に対する抗体の検査で、主に輸血予定の患者様や、ご妊娠された方にも実施します。この検査を実施することで、輸血した赤血球が壊されてしまう反応(溶血反応)や、母親の抗体が赤ちゃんへ移行してしまうことで生じる赤ちゃんの貧血や強い黄疸など(母児間血液型不適合)をあらかじめ予測し、適切な処置・対応を行うことが可能になります。

<交差適合試験>

患者様の血液と供血者の血液(=輸血用製剤)が適合するか否かを確認する検査です。

<自己血の採取・保管管理>

自己血の採取は、全身状態が比較的良好で予定されている手術で輸血が必要になる可能性が高い患者さんが対象となります。手術日の2〜3週前にご自分の血液を採取して保管しておき、手術時に使用します。適応症例につきましては主治医にご確認ください。

<自家末梢血幹細胞の採取・保管管理>

当院の血液内科では、適応症例に対する自家末梢血幹細胞移植併用の大量化学療法を実施しており、この治療の前に患者さんの幹細胞数の測定・採取・凍結保管・管理を行っております。

臨床指標

輸血赤血球製剤の廃棄率

血液製剤の適正使用と同時に未使用で廃棄する製剤を減らして貴重な血液製剤を有効活用することは重要です。今後も継続して輸血の適正管理につとめます。 廃棄率は以下で計算しています。

廃棄赤血球製剤単位数/(使用赤血球製剤単位数+廃棄赤血球製剤単位数)

年度 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
廃棄率 1.80% 1.30% 1.00% 1.30% 1.60% 1.00%

実績

<輸血関連検査件数>

年度 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
血液型検査 13940 14116 15492 16138 16235 16900
不規則抗体 5351 5649 6154 6414 6297 6927
交差適合試験 6956 6550 6516 7433 7197 7643

<同種血使用量(単位)>

年度 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
赤血球製剤 9124 9001 9323 10049 9487 10371
濃厚血小板製剤 13355 12400 12610 12335 9550 13750
新鮮凍結血漿 3509 3697 4016 3695 3185 3140
アルブミン製剤 38150g 36787.5g 31600g 34637.5g 35900g 38949g

<洗浄血小板製剤> *2016年9月より赤十字血液センターより供給

年度 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
症例(例) 3 1 1 ―* ―* ―*
洗浄血小板製剤数 35 5 27 ―* ―* ―*

<緊急輸血(症例)>

年度 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
O型赤血球製剤 9 11 28 21 24
AB型新鮮凍血漿 3 7 18 15 14

<貯血式自己輸血(単位)>

年度 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
貯血量 376 266 216 236 149 115
使用量 280 205 152 140 97 76

<自家末梢血幹細胞(回)>

年度 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
採取 13 22 18 18 11 16
移植 9 17 11 14 9 13
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