脳神経外科
診療科の紹介
当院脳神経外科の特徴
- 2007年4月よりSCU・C-3病棟からなる脳卒中センターを、脳神経内科・リハビリテーション科・医療連携センター等と協力して運営している。SCUホットラインにより、脳血管障害救急患者を出来るだけ断らず、最短時間で受け入れることを目標としている。急性期脳梗塞に対し、脳神経内科の協力でtPA治療を行い、さらに、2015年5月から、脳梗塞に対する血栓回収療法を導入しており、24時間365日応需している。そして、リハビリテーション科・医療連携センターとの共同で脳卒中患者さんの急性期リハビリから近隣の回復期リハビリ病床との連携を推進している。
- 救命救急センターでは救命救急科と共同で、重症頭部外傷や重症脳血管障害患者さんの治療に当たる。重症頭部外傷例は低体温療法を行う。緊急手術が必要な症例で、しかし手術室に入室できない場合は、救命救急科の協力で、救命救急センター内手術室で手術を行うこともある。
- 未破裂脳動脈瘤や頚部頚動脈狭窄症に対して、経過観察、血管内手術、あるいは直達手術を行う。特に、脳動脈瘤治療 (破裂、未破裂) は2000年から血管内手術 (コイル塞栓術) を第1選択とし、現在脳動脈瘤の約80%は血管内手術にて治療を行っている。大型動脈瘤や広頚動脈瘤に対しては、2022年からフローダイバーターによる血管内手術を導入した。血管内手術は、脳動脈瘤塞栓術や頚動脈ステント留置術等、いずれも全身麻酔にて、安全かつ正確な治療を目指している。
- 脳腫瘍に対しては、ナビゲーション下での安全かつ正確な手術を行っている。良性脳腫瘍には、積極的に外科的摘出術を心がけ、悪性脳腫瘍に対しては、神経機能モニターを駆使しつつ、最大摘出かつ機能温存の手術を行い、術後は放射線治療や化学療法を用いる集学的治療を行っている。悪性の神経膠腫(膠芽腫)に対しては、電場療法を行うこともできます。詳細はこちら。神経内視鏡手術も下垂体腺腫を中心に行っている。がん患者さんの転移性脳腫瘍に対しても、担癌科との連携を強くし、電話1本で初診時に治療方針の決定を心がけている。当院には、強度変調放射線治療装置も導入しており、悪性脳腫瘍に対する化学療法も含めて、大学病院と同等の放射線治療レベルを維持している。
- 脳動静脈奇形は、従来から使用しているNBCAでの塞栓と定位的放射線治療の組み合わせ、あるいはオニキスという塞栓物質による塞栓術と手術による摘出術、等によって治療を行っている。基本的には摘出可能なものは、全摘出を行い根治を目指している。
- 硬膜動静脈瘻に対しては主にNBCAやオニキスを使用した動脈側からの血管内手術、主にコイルを使用した静脈側からの血管内手術を行なっている。必要に応じて開頭手術を併用したハイブリッド治療を行い、根治を目指している。
脳神経外科手術のJND (Japan Neurosurgical Database) への登録を、2018年1月から開始した。 >NCD情報公開文書
認定施設
初診の方は、おかかりの医療機関の紹介状と受診日の事前予約が必要となります。
スタッフ紹介
常勤医師数
8名
副院長/部長:玉置 正史 (たまき まさし)
専門領域
- 脳腫瘍の外科治療
- 悪性脳腫瘍の放射線化学療法
- 悪性脳腫瘍に対する集学的治療
- 脳卒中の外科治療
- 脳血管障害に対する外科治療
資格等
- 日本脳神経外科学会専門医
- 日本神経内視鏡学会技術認定医
- 東京医科歯科大学医学部臨床教授
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
脳腫瘍の治療を主に担当しています。当院では、早くから神経ナビゲーションシステムを導入して、正確・安全な手術を心がけています。
下垂体腫瘍を主たる対象として、神経内視鏡システムも導入して、より低侵襲な治療方法も取り入れています。
良性脳腫瘍については、できるだけ障害がでないように「きちっと摘出する」ことをめざし、悪性脳腫瘍に対しては、手術のみならず、術後の放射線治療 (定位的放射線治療) や化学療法を含めた最新の集学的治療を行っています。
脳の疾患は、いかなるものも、患者さんの人生に大きくかかわる問題ですので、患者さんやご家族とご相談しながら、患者さん主体の治療を心がけています。
部長:佐藤 洋平 (さとう ようへい)
専門領域
- 脳動脈瘤に対する血管内手術
- 脳神経外科一般
- 脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻に対する血管内手術
資格等
- 日本脳神経外科学会専門医
- 日本脳神経血管内治療学会専門医・指導医
- 日本脳卒中学会専門医・指導医
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
脳血管内手術を担当しています。当院では2000年から脳動脈瘤治療に対し、脳血管内手術を第一選択として治療実績を積み重ねてきました。現在に至るまで頚動脈狭窄に対するステント留置術、急性期脳梗塞に対する脳血栓回収術、脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻に対するオニキスによる塞栓術、大型もしくは広頚動脈瘤に対するフローダイーバーター留置術、足の大腿動脈ではなく手首の橈骨動脈からの検査治療など、その時々の新規治療を導入し、有効性および安全性の観点から患者様に最適の治療方法をご提案しています。
副部長:荻島 隆浩 (おぎしま たかひろ)
専門領域
- 脳外科一般
- 脳腫瘍
- 脳血管内治療
資格等
- 日本脳神経外科学会専門医・指導医
- 日本脳神経血管内治療学会専門医
- 日本脳卒中学会専門医
- 日本神経内視鏡学会技術認定医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 医師の臨床研修に係る指導医養成講習会修了
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:橋詰 哲広 (はしづめ あきひろ)
専門領域
- 脳神経外科一般
資格等
- 日本脳神経外科学会専門医
- 日本脳神経血管内治療学会専門医
- 日本救急医学会救急科専門医
- 東京消防庁救急隊指導医
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:船崎 久瑠美 (ふなざき くるみ)
専門領域
- 脳外科一般
資格等
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:千葉 慶太郎 (ちば けいたろう)
専門領域
- 脳神経外科
資格
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:山本 陽 (やまもと あきら)
専門領域
- 脳神経外科一般
資格
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医師:太田 哲夫 (おおた てつお)
専門領域
- 脳神経外科
資格等
- がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
可能な検査・治療・器械について
検査
- CT:3台、MRI:2台、脳血管撮影 (3次元DSA、2台) SPECT (脳血流検査、脳腫瘍検査) 脳波、誘発電位、高次脳機能評価 (リハビリテーション科と合同) 、持続脳圧測定
- 脳卒中は一刻を争う疾患のため、CT, MRI検査ならびに血管撮影検査は、休日も24時間緊急検査が可能な体制を整えている。
治療
- 脳腫瘍手術 (神経ナビゲーション下)
- 経鼻的下垂体腫瘍手術 (顕微鏡下・神経内視鏡下)
- 脳血管内手術 (脳動脈瘤、頚部頚動脈狭窄、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻、脳梗塞、脳腫瘍)
- 脳動脈瘤開頭クリッピング術、開頭血腫除去 (脳出血、頭部外傷)
- 放射線治療、定位放射線治療 (放射線科と共同で) 、悪性脳腫瘍化学療法
- 低体温療法 (救命救急科と共同で)
- 水頭症手術 (シャント手術、神経内視鏡手術)
器械
- 脳神経外科術中ナビゲーションシステム、手術用顕微鏡 (1台)
- 超音波吸引器、神経内視鏡
- 脳血管撮影装置 (3次元DSA 2台)
- 高精度放射線治療システム (IMRT) (定位的放射線治療)
- CT (3台) 、MRI (2台)
- 脳血流量測定装置 (SPECT)
- ポータブルDSA (手術室)
診療実績
直達手術
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
直達手術総数 | 350 | 367 | 321 | 322 | 263 |
開頭腫瘍摘出術 | 48 | 56 | 39 | 58 | 53 |
脳動脈瘤開頭クリッピング | 22 | 15 | 22 | 22 | 11 |
脳動静脈奇形摘出術 | 4 | 3 | 5 | 2 | 1 |
他の血管障害 (脳出血など) | 108 | 29 | 104 | 54 | 53 |
頭部外傷 (慢性硬膜下血腫含む) | 103 | 109 | 105 | 124 | 101 |
血管内手術
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
血管内手術総数 | 152 | 186 | 158 | 131 | 148 |
脳動脈瘤コイリング | 86 | 103 | 85 | 82 | 90 |
脳動静脈奇形 | 7 | 7 | 7 | 2 | 3 |
硬膜動静脈瘻 | 1 | 6 | 6 | 10 | 14 |
脊髄動静脈奇形 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
定位的放射線治療
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
定位的放射線治療総数 | 33 | 50 | 48 | 48 | 41 |